トイレの水位が低い原因と対処法を紹介

「トイレの水位が低い場合にマンションで考えられる原因は？」「正常なトイレの水位の目安を知りたい」「トイレの水位が低い際に起こることとは？」生活に必要不可欠なトイレ。その構造は意外と知られておらず、トラブルが起こったときの対処が素人では難しいという声も多くあります。

本記事では、トイレの水位について、解説していきます。水回りのトラブルが起きている方、すぐに直したい方、安心して依頼できる業者を探している方は、ぜひ最後までご覧ください。

トイレの封水の役割

まずは、トイレの封水の役割について解説していきます。主な役割は以下の2つです。

• 下水の悪臭を防ぐ


• 害虫の侵入を防ぐ

それぞれ確認してください。

下水の悪臭を防ぐ

トイレの封水は、下水の悪臭を防ぐ役割があります。封水とは、トイレボウルの中に一定の量を保っている水です。

この封水があることで、下水から発生する悪臭がトイレ内部に漏れ出すのを防ぎます。また、下水管との接続部分を覆っており、排泄物やトイレの洗浄水が下水管へ直接漏れ出すのを防いだり、空気の流れを遮断し下水の悪臭が室内へ広がることを防いだりします。

封水が適切に保たれているか確認し、必要に応じて追加することで、トイレの快適な利用環境を維持できます。

害虫の侵入を防ぐ

トイレの封水は、害虫の侵入を防ぐ役割もあります。

害虫は水や食べ物を求めて家に入り込む傾向があるため、トイレボウル内の水や排泄物に引き寄せられてしまいます。しかし、封水があることで害虫が水源や餌を得ることができず、侵入を防ぐことができます。また、封水が適切に保たれていることで、トイレの清潔さも保たれ、害虫の活動を抑えることもできるでしょう。

定期的に封水の状態を確認し、必要に応じて追加することで、害虫の侵入を防止することができます。

正常なトイレの水位の目安

正常なトイレの水位は、トイレボウル内に一定の水量が保たれている状態です。一般的には、排泄物が入った後も十分な水量が残り、封水が形成されていることが目安です。水位が十分でない場合、排泄物が直接衝突して飛沫が発生する恐れがあり、臭いや衛生面での問題が生じます。

一方、水位が高すぎる場合、必要以上の給水が行われたり、トイレの流れが強くなったりするため、水の浪費や運転音の増加に繋がることがあるでしょう。適切な水位は、トイレのメーカーや製品によって異なる場合もあるので、取扱説明書などを参考にすることがおすすめです。

トイレの水位が低い原因

次に、トイレの水位が低い原因について見ていきましょう。基本的には、以下の5つが考えられます。

• トイレの詰まり


• 便器の破損による水漏れ


• 誘導サイホン


• 蒸発現象


• 補助水管の不具合

それぞれ確認してください。

原因①トイレの詰まり

トイレの水位が低くなる原因のひとつは、トイレの詰まりです。詰まりが発生すると、排泄物やトイレの洗浄水がスムーズに流れず、水位が下がることがあります。

詰まりの主な原因は、紙や便器に流れ込んだ異物（例：トイレットペーパーや生理用品）や、便器の排水口に溜まった固形物です。これらが排水を阻害し、水の流れを妨げるため、水位が低くなります。

詰まりが起こった場合は、水圧を調節する詰まり解消剤や、専用の便器のつまり取り器具を使用して詰まりを解消する必要があります。また、詰まりを予防するためには、適切な便器の使用や、異物の流入を防ぐことが重要です。

こちらの記事ではトイレ詰まりの原因と対処方法について解説しています。あわせてご覧ください。

トイレ詰まりの原因と対処方法について

原因②便器の破損による水漏れ

トイレの水位が低い原因のひとつは、便器の破損による水漏れです。

便器には給水弁からの水が流れ込み、水位を保っています。しかし、便器本体や給水管に亀裂や破損がある場合、水漏れが起こり、水位が低下します。これにより、トイレボウル内の水量が不足し、封水が形成されず低い水位になります。

便器の破損は、長年の使用や老朽化、過剰な力の加わり、不適切な取り扱いなどが要因です。破損が疑われる場合は、プロの修理業者に依頼し、便器や給水管の点検と修理を行う必要があります。水漏れを未然に防ぐためにも、定期的な点検とメンテナンスが大切です。

原因③誘導サイホン

トイレの水位が低い原因のひとつは、誘導サイホンの不良です。誘導サイホンとは、水が流れる際に水を誘導してトイレボウル内の水を排出する仕組みのことです。しかし、誘導サイホンに問題がある場合、排水がうまく行われず、水位が低下します。

一般的な不具合は、誘導サイホンの配管が詰まっていることや、誘導サイホン自体が劣化していることが考えられます。これにより、水が正しく流れず、水位が低くなるのです。誘導サイホンの不具合はプロの修理業者に依頼して修理する必要があります。また、トイレの正しい使用方法や適切なメンテナンスも水位の低下を防ぐために重要です。

原因④蒸発現象

トイレの水位が低い原因のひとつは、蒸発現象です。トイレボウル内の水は常に空気と接触しており、その結果、水分が蒸発します。環境の温度や湿度、通風の具合なども影響し、蒸発の速度が変わります。

とくに、暖房やエアコンが効いた部屋や、乾燥した環境では蒸発が進みやすくなるでしょう。その結果、トイレボウル内の水位が低下します。

蒸発による水位の低下は一時的なものであり、通常は使用後に給水されて元の水位に戻ります。しかし、乾燥が続く場合やトイレの使用頻度が低い場合、水位が低くなったまま安定することもあるため、この場合は給水弁や給水管の調整が必要な場合もあります。

原因⑤補助水管の不具合

トイレの水位が低い原因のひとつは、補助水管の不具合です。補助水管は給水弁から水をトイレボウルに供給する役割を担っています。しかし、補助水管に詰まりや破損があると、十分な水量が供給されず、水位が低下します。

詰まりは水垢や異物の堆積などにより起こることがあり、補助水管自体が老朽化や劣化している場合もあるでしょう。これによって水が漏れたり、流れが悪くなります。補助水管の不具合は、プロの修理業者に依頼して点検と修理を行う必要があります。定期的なメンテナンスや清掃もお忘れなく。

トイレの水位が低い際に起こること

トイレの水位が低い際に起こることも知っておくとよいでしょう。主に懸念されるのは以下の4つです。

• 悪臭の発生


• 害虫の発生


• 汚水の逆流


• 近隣トラブル

それぞれ見ていきましょう。

悪臭の発生

トイレの水位が低いと起こる懸念のひとつが、悪臭の発生です。トイレの水位が低下すると、排水管内の水が不足し、下水道や排水管からの悪臭が室内に侵入する可能性があります。また、水位が低いとトイレボウル内の立ち上がり水も少なくなるため、便器内の臭気を封じ込める効果も低下します。

これにより、便の臭いや下水のニオイが室内に広がり、快適な生活環境を損なうことになるでしょう。トイレの水位が低くなった場合は、早めに原因を特定し、補修やメンテナンスを行うことが重要です。

害虫の発生

トイレの水位が低いと、害虫の発生が起こる可能性もあります。水位が低下すると、トイレボウル内の水が少なくなり、虫が湧くのに適した環境が生まれます。とくに、害虫の中でもゴキブリやダンゴムシなどは湿度が高い環境を好むため、水位の低下は彼らにとって適した場所となるでしょう。

害虫の発生は衛生上の問題だけでなく、快適な生活環境を脅かすことにもなります。水位が低下している場合は、早めに原因を調べ、水漏れや補修が必要であれば行うことが重要です。また、水位の管理には定期的なメンテナンスや清掃も欠かせません。

汚水の逆流

トイレの水位が低いと、汚水の逆流が起こる可能性があります。通常、トイレボウルの水位が高い状態を保つことで、排水管内の圧力を保ち、汚水が逆流することを防いでいます。

しかし、水位が低下すると逆流防止の効果が弱まり、下水道や排水管からの汚水がトイレボウルに逆流することがあります。これは衛生上の問題だけでなく、室内や建物の床などに汚水が広がり、大きな被害をもたらす可能性もあるのです。

トイレの水位が低い場合は、迅速に原因を特定し、修理や補修を行うことが重要といえます。また、定期的なメンテナンスやクリーニングも必要です。

近隣トラブル

トイレの水位が低いと、近隣トラブルが起こる可能性があります。低水位のトイレからの悪臭や汚水の漏れが原因で、周囲の住民や建物の利用者に不快感や迷惑を引き起こすかもしれません。とくに、マンションやアパートの場合、上下階の住人に影響を与える可能性があります。

このような近隣トラブルは、住民間の関係を悪化させるだけでなく、法的な問題や建物の瑕疵担保責任にも関わる可能性があります。トイレの水位が低下している場合は、すみやかに原因を調査し、適切な修理やメンテナンスを行うことが重要です。

トイレの水位が低い際の対処法

次に、トイレの水位が低い際の対処法を紹介しましょう。ここでは、以下の5つの方法について解説していきます。

• 水を足して放置する


• 便器やタンクの設定を確認する


• ラバーカップを使う


• お湯を流す


• 業者に依頼する

それぞれ見ていきましょう。

対処法①水を足して放置する

トイレの水位が低い場合、一時的な対処法としては水を足して放置することがあります。水を追加することで、トイレボウル内の水位を上げ、汚水の逆流や害虫の発生を防ぐことができます。水を足す際は、適量の水をゆっくりと注ぎ、ボウルに満たされるまで放置しましょう。

ただし、この対処法は一時的なものであり、水位が低下した原因を必ず調査し、修理や補修を行う必要があります。いつまでも水を足していると、水漏れや他の問題が悪化する可能性があり、定期的なメンテナンスや清掃も重要なので、適切な対処を行うようにしましょう。

対処法②便器やタンクの設定を確認する

トイレの水位が低くなる原因として、便器やタンクの設定が適切でない場合があります。

まず、便器の水位が低い場合は、バルブを調整するか、便器内の水量調整ネジを回して水位を上げることができます。次に、タンクの水位が低い場合も、バルブを調整するか、タンク内の水量調整ネジを回して水位を上げましょう。

設定が適切でないと、便器を十分に洗浄できず、臭いや汚れの原因になります。

対処法③ラバーカップを使う

トイレの水位が低いときは、ラバーカップを使用することで一時的にトイレの水を上げることができます。ラバーカップをトイレボウルに密着させ、数回押してみてください。すると、カップ内の空気が抜け、水が吸い込まれることで水位が上昇します。

ただし、この対処法は一時的なものであり、低水位の原因を特定し、修理やメンテナンスを行う必要があります。ラバーカップを使用することで、一時的にトイレを使用することができる場合もありますが、問題の根本的な解決にはなりません。長期的な修理やメンテナンスを優先しましょう。

対処法④お湯を流す

トイレの水位が低い場合、一時的に対処する方法としては、水を足して放置することがあります。これにより、水位を上げ、汚水の逆流や害虫の発生を防ぐことができます。

ただし、この対処法も一時的なものであり、低水位の原因を調査し、修理や補修を行う必要があります。継続的に水を足し続けると、水漏れや他の問題が悪化する可能性があるので注意が必要です。定期的なメンテナンスや清掃も重要ですので、適切な対処を行いましょう。

対処法⑤業者に依頼する

トイレの水位が低い場合、原因を正確に特定し、適切な修理や補修を行うために、専門の業者に依頼することがおすすめです。業者は経験と専門知識を持っており、トイレの診断や修復を行うことができます。彼らは適切な道具と技術を用いてトイレを点検し、問題を特定し、必要な修理や交換を行います。

自己修理する場合、誤った方法を使用する可能性があり、問題を悪化させる可能性があるため注意が必要です。業者に依頼することで、トイレの正常な機能を回復させ、将来的なトラブルを防ぐことができます。

修理業者を選ぶポイント

ここからは、修理業者を選ぶポイントについて見ていきましょう。基本的には以下の3つが重要です。

• 口コミや評判を確認する


• 修理料金の見積もりを出す


• 即日対応できるかを確認する

それぞれ確認してください。

ポイント①口コミや評判を確認する

修理業者を選ぶ際には、口コミや評判を確認することが重要です。口コミは他の顧客の評価や実際の利用体験を通じて、業者の信頼性や技術力を知る手段です。インターネットやSNSなどで、業者のウェブサイトやレビューサイトを調べてみましょう。多くのポジティブな口コミがある業者は、信頼性が高い可能性があります。

また、ネガティブな口コミにも注意を払いましょう。同様の問題を抱えた人々からの意見や体験談は、業者の問題解決能力や対応力を見極める上で役立ちます。ただし、単体での評価ではなく、複数の情報源を参考にすることも重要です。口コミや評判を確認することで、信頼性の高い修理業者を選びましょう。

ポイント②修理料金の見積もりを出す

修理業者を選ぶ際には、修理料金の見積もりを出してもらうことが重要です。見積もりを取ることで、修理の費用や必要な工程を把握できます。また、複数の業者から見積もりを取ることで、料金の比較ができるでしょう。

ただし、もっとも安い業者が必ずしも最良の選択肢ではありません。修理料金だけでなく、業者の信頼性や技術力も考慮する必要があります。なお、見積もりを出してもらう際には、詳しい内容や料金の内訳を確認しましょう。

また、任意の追加費用や保証内容についても確認することが大切です。全体的な費用とサービスのバランスを見極め、最良の選択肢を判断しましょう。

ポイント③即日対応できるかを確認する

修理業者を選ぶ際には、即日対応できるかを確認することも重要です。トイレの水位が低いなどの問題は、使用しづらさや衛生上のリスクを引き起こすため、迅速な修理や補修が求められます。業者によっては、予約や待ち時間が発生することもあるため、即日対応が可能であるかを確認しましょう。

修理業者の営業時間や対応エリアも事前に確認しておくことが重要です。業者のホームページや問い合わせ時に、即日対応について明確な回答を得られるかをチェックしましょう。

トイレの封水切れの予防方法

ここからは、トイレの封水切れの予防方法を解説していきます。主な方法は以下の3つです。

• 定期的に水を足す


• 蒸発防止剤を使う


• 便器をラップで覆う

それぞれ見ていきましょう。

定期的に水を足す

トイレの封水切れを予防するための方法のひとつは、定期的に水を足すことです。封水切れは、トイレのタンクに十分な水が入っていないことによって起こる問題です。水が不足すると、水流が弱くなり、トイレの流れが悪くなったり、完全に流れなかったりすることがあります。

そこで定期的に水を足すことで、常に適切な水量を確保することができます。具体的な頻度は、トイレの使用頻度や水量によって異なりますが、週に1度や月に1度など、自分のトイレの状況に合わせて調整しましょう。

水を足す方法は、トイレのタンクに水を注ぐだけです。タンク内の水位が必要なレベルになるまで、ゆっくりと注いでください。また、水を足す際には、適切なタンクの容量を守り、水の浪費にも注意しましょう。定期的に水を足すことで、トイレの封水切れを防ぎ、快適な使用を維持することができますが、水漏れや流れが悪いなどの問題が続く場合は、専門の修理業者に相談しましょう。

蒸発防止剤を使う

トイレの封水切れを予防するための方法のひとつは、蒸発防止剤を使うことです。蒸発防止剤は、トイレのタンク内の水の蒸発を抑えるために使用されます。

水の蒸発が進むと、タンク内の水位が低下し、封水切れの原因となります。蒸発防止剤は、一般的にタンク内に粉末や液体として添加されます。これにより、水に膜を作り、蒸発を防ぐ効果があります。

蒸発防止剤には、色や香りを付けたものもあり、トイレの清潔さを保つ効果も期待できます。使用する際には、製品の指示に従って適量を添加することが重要です。また、定期的に蒸発防止剤を補充することによって、効果を持続させることができます。蒸発防止剤を使うことで、水の蒸発を防ぎ、トイレの封水切れを予防することができます。

便器をラップで覆う

トイレの封水切れを予防する方法のひとつは、便器をラップで覆うことです。便器をラップで覆うことにより、水の蒸発を抑えることができます。水が蒸発すると、水位が下がり、封水切れが起こる可能性があります。

便器をラップで覆う方法は、簡単です。まず、トイレの便器の内側にフィルムやボウルカバーを貼り付けます。これにより、水が直接空気に触れることを防ぎ、蒸発を抑えることができます。また、便器の上にラップを敷く方法もあります。

トイレを使用する前にラップを取り替えることで、常に水位を保つことができます。ただし、ラップを使用する場合、衛生面や使用感に影響を与える可能性があるため、こまめな交換や清掃が必要です。便器をラップで覆うことで、封水切れを予防し、トイレの快適さを保ちましょう。

トイレの水位が低いマンションは5つの原因が考えられる

トイレの水位が低いマンションでは、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。まず、水位が低いと便器に十分な水が入らず、トイレの流れが弱くなるため、排泄物が完全に流れず詰まる可能性が高まります。

詰まりが生じると、臭いや衛生問題が発生し、快適な生活環境を損なうことになるでしょう。また、水位が低いと便器に汚れが付着しやすくなり、汚れが残りやすくなります。これにより、トイレの清掃が困難になったり、排水管や配管の詰まりを引き起こしたりすることもあります。

さらに、水位が低いまま放置しておくと、トイレの内部やタンク内部にも問題が生じる可能性があります。タンク内部の配管やバルブの劣化、部品の摩耗などが進行し、修理や交換が必要になる場合もあるでしょう。したがって、トイレの水位が低い場合は早急に修理やメンテナンスを行うことが重要です。専門家に相談し、適切な措置を講じましょう。

ながさき水道職人では、水道局指定店として水回りに関するさまざまなトラブルに対応しています。24時間365日受付・ご訪問を行っているので、今すぐ相談したい場合もお気軽にご連絡ください。

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監修者

主任

朝長 大輔

《略歴》

弊社指定の水道メンテナンス研修プログラムを履行し、数多くの現場を経験することで実践的なスキルや最新の技術に関する知識を身に付けてまいりました。
コラムではこれまでの経験から深い理解と実践的なノウハウをもとに水道メンテナンスに関する専門的な知識を広く普及させることを目指しています。