マンションの排水溝掃除って何をするの？業者が行う掃除内容を知っておこう

マンションの排水溝掃除って何をするの？業者が行う掃除内容を知っておこう

マンションでは年に1回程度、排水溝掃除を行います。掃除の際は業者を部屋に招かないといけないため、慌てて掃除をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

通知が来ると予定を調節するなど手間のかかる排水溝掃除ですが、マンションの機能を維持するためには必要な作業です。

この記事では、マンションの排水溝掃除を行う理由や、作業の内容を解説します。

マンションの排水溝掃除とは

マンションの排水溝掃除は、キッチン・お風呂場や洗面台・洗濯機・ベランダの排水溝を掃除する作業です。年に１回程度行われるメンテナンスで、室内、つまり専有部分からきれいにする場合と、共有部分を清掃する場合があります。

排水溝掃除をするときは、管理者から連絡が入ります。専有部分から掃除をする場合、室内に業者を招き入れないとならないため、掃除を行う日は借主が在宅している必要があります。連絡が来たら、スケジュールを調節して対応しましょう。

排水溝掃除をする理由

そもそも、マンションの排水溝掃除はなんのために行われるのでしょうか。これには３つの理由があります。それぞれの内容を解説します。

排水管トラブルを防止するため

お風呂場やキッチンなど雑排水が流れ込む配管は、髪の毛や食べかすなどのごみが入りがちです。油や皮脂なども流れ込むため、メンテナンスしないと中で汚れがこびりつき、詰まりなどのトラブルを発生させます。

排水溝掃除は、トラブルの原因である汚れを落とし、故障を予防します。マンションの設備管理の一環として行われているのです。

法的な規定を守るため

マンションは建築基準法や、建造物における衛生環境の確保に関する法律などで、点検や汚水桝の掃除が義務付けられています。定期的に異常がないか確認し、異常があれば対処しなくてはなりません。

汚水桝の清掃に合わせて確認がてら排水溝掃除をすることもあります。排水溝掃除は、法律を守るための作業でもあるのです。

配管の機能を維持するため

配管は汚れがたまると機能が低下します。結果、詰まりや水漏れなどのトラブルが発生するのです。

これを避けるには、定期的に掃除をしなくてはなりません。家庭でも排水溝掃除をしている方は多いですが、家庭でできる掃除は、きれいにできる範囲や落とせる汚れに限界があります。

プロに掃除を定期的に依頼することで、家庭では落とせない範囲の汚れもきれいにできます。排水溝掃除は、マンションの住人がいつも快適に水周りを使うためにも必要な作業なのです。

排水溝掃除の実施頻度

排水溝掃除の実施頻度は、マンションごとに異なります。法律上は、汚水桝などの掃除を半年に1回程度行うよう定められているため、年1～2回のタイミングで行っているところが多いです。

築年数の浅いマンションなら2～3年に１回程度でも問題ありませんが、法律上の問題があるため、年数回のタイミングで実施されています。お知らせは遅くとも実施期間の1か月前には告知されるため、スケジュールを調節しておきましょう。

マンションで行う排水溝掃除の実施場所

マンションの排水溝掃除は、実施場所が大きく分けてふたつあります。掃除箇所が異なるため、実施場所により対応方法も変化します。実施場所とその対応方法を知っておきましょう。

共用部分

共有部分の掃除では、部屋とつながっている縦型配管と、状況や時期により汚水桝の一部までを掃除します。部屋に入るわけではないため、借主が特別な行動をとる必要はありません。

しかし、まれに掃除対象である縦型管や汚水桝の周辺に物が置かれていることがあります。置いている物をどかす必要がある場合、持ち主に連絡が行くかもしれません。その場合は、掃除を行う日までに移動しておきましょう。

専有部分

専有部分は、最初に解説した通り部屋側から配管掃除を行います。掃除箇所はトイレ以外の排水溝です。掃除の際は排水溝を開けて作業するため、近くに物があるならどかす必要があります。事前に片付けておきましょう。

また、専有部分の掃除を行うときは、借主は部屋にいる必要があります。管理者から通知をもらったら、掃除に対応できる日時を伝えて、対応してください。

マンションの排水溝掃除のやり方

マンションの排水溝掃除は、状況に応じてさまざまな方法で掃除します。ここでは、排水溝掃除で使う道具やその特徴を解説します。

高圧または空気圧洗浄

強力な水圧または空気圧で、汚れを落とす方法です。業者は専用のポンプ車をもっており、ノズルを室内に伸ばして掃除します。上の階で行うと下の階に逆流するため、下の階から開始されるのが一般的なやり方です。

水圧や空気圧で配管を洗浄するやり方は、汚れの種類を問わず、配管の奥まできれいにできます。しかし、配管に細かい傷がついてしまうことがあります。とはいえ、洗浄力が強いため、よく活用されている方法です。

ワイヤーブラシ

先端にブラシやスクリューがついたワイヤーで、配管内にある汚れをかき出す方法です。

ブラシを配管の壁に回転させながら入れることで、こびりついた汚れを取り除けます。固い汚れに強い方法で、詰まりの元などが中にできていても、かき出してきれいにできます。

詰まりの元を事前に取り除くこともできますが、年度の高い汚れに弱いため、雑菌などのヌルヌルした汚れにはあまり効果はありません。

また、複雑に折れ曲がった配管でも効果を発揮できないことがあります。このような場合は、高圧洗浄機を使ってきれいにすることが多いです。

ロッド法

長い棒をつなぎ合わせた掃除道具で、先端に汚れを取るためのパーツをつけて使います。ロッドは1～2mほどあり、配管の長さに合わせてつなぎ合わせることで対応します。

こちらもワイヤーブラシ同様、詰まりなどがあったときには砕いたりかき出したりしてきれいにできる道具です。室内の排水溝に使われるほか、雨水管の掃除にも使われます。

主に手動できれいにする道具ですが、電動で掃除できる機器もあります。最大30mもの範囲をきれいにすることが可能です。

薬剤

配管用の薬剤で掃除する方法です。家庭でもパイプクリーナーなどを使って行いますが、業者が使うものは家庭用薬剤とは異なります。業務用の薬剤の中には、ムース状で配管の壁に密着し、汚れを溶かし落とすものなど、特殊なものを使います。

専門的な知識や技術がないと使えない薬剤を使うため、家庭用よりもきれいにできるのが特徴です。配管にも負担をかけないため、古い配管にも使えます。

排水溝掃除の依頼は管理者が行う

マンションの配管掃除は、管理者が依頼して実施します。借主が個人的に依頼したい場合は、事前に管理者へ相談しなくてはなりません。

無断で掃除すると、管理者とのトラブルにつながります。個人的に掃除をしたい場合は、必ず管理者へ相談してから依頼してください。

なお、管理者が掃除を依頼すると、エントランスなどに張り紙がされたり、ポストにお知らせが届いたりします。回覧板があるマンションなら、回覧板にお知らせが記載されています。

排水溝掃除の連絡が来ていないか、定期的に確認しておきましょう。

まとめ

マンションの排水溝掃除は、中に住む住人が快適かつ安全に水周りを使うために必要な作業です。法律でも実施をある程度定められており、年に1～2年行われます。実施される時期は、1か月前などに張り紙やお知らせの投函で伝えられるため、必ず確認しましょう。

掃除は専有・共有の両方で行われます。片付けが必要な場所がそれぞれ異なるため、実施前に片付けを行う際はご注意ください。また、専有部分を掃除する際は、必ず部屋の中にいてください。

排水溝掃除は個人でも依頼できますが、その前に必ず管理者に許可を得る必要があります。依頼を検討しているときは、まず管理者に連絡しましょう。

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監修者

主任

朝長 大輔

《略歴》

弊社指定の水道メンテナンス研修プログラムを履行し、数多くの現場を経験することで実践的なスキルや最新の技術に関する知識を身に付けてまいりました。
コラムではこれまでの経験から深い理解と実践的なノウハウをもとに水道メンテナンスに関する専門的な知識を広く普及させることを目指しています。