水のコラム
学校のトイレに現在でも和式が残っているのはなぜ?理由と水まわりの事情【水道職人:公式】

ご家庭のトイレでは洋式が広く普及する一方、学校施設には現在も和式トイレが残っているのが現状です。
しかし、慣れない和式トイレを避け、排泄を我慢する児童・生徒もいます。
では、なぜ今も学校のトイレには和式が現在も使用されているのでしょうか。
実は、学校のトイレに和式が現在も利用されている背景には、設備面だけでなく、予算や学校設置者の整備方針も関係しているのです。
本記事では、学校のトイレに和式が残っている理由と、洋式化する際に確認したい配管や床などの設備上の課題について詳しく解説します。
目次
学校のトイレで洋式化がスムーズに進まない背景

学校側も洋式化を進めていますが、一度にすべての便器を交換できないのが現状です。
ここでは改修にかかる費用や既存設備、学校設置者の整備方針について解説します。
既存設備の状況によって変わる改修範囲と費用
和式トイレを洋式化する工事の内容は、既存の便器や床、給排水設備の状態によって異なり、床に埋め込まれた和式便器では床の解体や補修が必要になることがあります。
そのため、床や配管の改修範囲が大きくなれば費用や工期にも影響があり、予算や改修時期を踏まえた計画が必要です。
なお、既存の排水位置を活用できる便器や改修工法もあるため、給排水管を必ず大幅に移設するわけではありません。
学校設置者の整備方針で一部を残すケース
学校のトイレに和式が残っている理由は、設備や予算だけではありません。
文部科学省が示している理由の一つは、公共施設で和式便器を利用する機会を踏まえ、教育上の観点から一部を残すというものです。
また、衛生面から便座に触れる洋式トイレを望まない児童・生徒が一定数いるとする学校設置者もあります。
参照:公立学校施設のトイレの今後について┃文部科学省
学校のトイレを洋式化する手順と配管改修

洋式トイレへ改修する際は、既存の床や給排水設備を確認し、必要な範囲で工事を行います。
- 既存の和式便器や床の段差、排水位置、給水位置を確認する
- 採用する洋式便器の寸法や排水位置が既存設備に対応するか確認する
- 必要に応じて和式便器を撤去し、床の段差を解体・補修する
- 既存の排水位置が対応しない場合は、排水管や給水管の位置を調整する
- 床の防水や排水仕様に応じて、湿式清掃または乾式清掃に適した床材を選ぶ
- 新しい洋式便器を設置し、接続部からの水漏れや洗浄状態を確認する
一般的には上記の流れで工事を行います。
床や給排水設備の状態まで確認して改修範囲を決めることが、施工後のトラブル防止につながるのです。
和式トイレと洋式トイレの設備や清掃方法の違い

和式から洋式へ改修する際は、便器の形だけでなく、排水位置や床、清掃方法についても確認する必要があります。
それぞれの違いを以下の表で比較してみましょう。
| 項目 | 和式トイレ | 洋式トイレ |
|---|---|---|
| 配管と床の構造 | 床に埋め込む形で設置されているものが多く、床に段差がある場合がある | 床排水や壁排水などがあり、製品によって排水位置が異なる |
| 清掃方法 | 既存の学校施設では湿式清掃の床と組み合わされている例がある | 改修に合わせて乾式清掃へ変更する例もある |
| 使用時の特徴 | しゃがんで使用し、便座に肌が触れない | 便座に座って使用する |
清掃方法は、床の防水や排水設備の仕様も考慮して選択する必要があるのです。
学校の和式トイレと設備に関するよくある質問

和式トイレの取り扱いや改修に関する疑問にお答えします。
Q1.和式トイレの上に洋式便座を被せるだけではだめですか?
和式便器の上に設置する簡易的な洋式便座は、対応する便器であれば大掛かりな工事をせずに使用できる製品があります。
ただし、製品ごとに適合する便器の形状や固定方法、清掃方法などが異なるでしょう。
学校のように多くの人が利用する施設では、安全性や清掃性、維持管理の方法も確認したうえで導入を判断してください。
Q2.古い学校の配管のまま洋式トイレに変えるとどうなりますか?
古い配管をそのまま利用できるかどうかは、配管の古さだけでは判断できません。
排水管の口径や勾配、曲がり、経路などが採用する洋式便器の設置条件に合っているか確認する必要があります。
既存設備が条件を満たさない場合は、便器の選定や排水管の改修を検討してください。
Q3.和式トイレがつまった場合はどのように対処すればよいですか?
トイレットペーパーや排泄物が原因のつまりであれば、便器の形状に合ったラバーカップで解消できる場合があります。
ラバーカップは便器の排水口へゆっくりと押し付けて密着させ、勢いよく引いて使用してください。
ただし、おもちゃや文房具など水に溶けない異物を落とした場合は、ラバーカップで奥へ押し込まないようにしましょう。
奥へ押し込むとつまりが悪化する恐れがあるため、手の届く場所に異物があれば取り出し、取り出せない場合やつまりが改善しない場合は、設備業者などへ点検を依頼してください。
児童・生徒が利用しやすい学校のトイレ環境に向けて

学校のトイレに和式が残っている背景には、既存設備や改修費用に加え、一部の和式便器を残す学校設置者の整備方針などがあります。
しかし、ご家庭での洋式トイレの普及やバリアフリー化などを踏まえ、学校でも洋式化が進められています。
改修する際は、既存の排水位置や床の仕様、採用する便器の設置条件を確認したうえで工事内容を決めることが必要です。
学校の施設管理担当者や自治体・学校法人など設置者側の担当部署、設計事務所、設備業者と連携し、児童・生徒が利用しやすいトイレ環境を整えていきましょう。
※本記事でご紹介している方法は、一般的な対処法の例です。
作業を行う際は、ご自身の状況や設備を確認のうえ、無理のない範囲で行ってください。
記事内容を参考に作業を行った結果生じた不具合やトラブルについては、当社では責任を負いかねます。
少しでも不安がある場合や、作業に自信がない場合は、無理をせず専門業者へ相談することをおすすめします。
監修者

主任
朝長 大輔
《略歴》
弊社指定の水道メンテナンス研修プログラムを履行し、数多くの現場を経験することで実践的なスキルや最新の技術に関する知識を身に付けてまいりました。
コラムではこれまでの経験から深い理解と実践的なノウハウをもとに水道メンテナンスに関する専門的な知識を広く普及させることを目指しています。
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